米百俵賞受賞KOME 100 AWARD
第20回米百俵賞受賞(2016年6月15日表彰)
受賞団体 NPO法人 インクルいわて(岩手県盛岡市)
日本のひとり親家庭の貧困率は50%を超え、ひとり親やその子を取り巻く状況は先進国中でも最悪と言われていた。
また、岩手県内においては、母子家庭約12,000世帯、父子家庭約1,100世帯のひとり親家庭が暮らしている中で、東日本大震災以前に県内にひとり親家庭支援団体がなかった。
このような背景の中、東日本大震災を契機に、生活困窮者、子ども、母子、障害者の各分野の支援者や司法で活動する者が、分野横断的にひとり親家庭支援の必要性を共有し、協力して取り組むため、平成23年10月にインクルいわてを設立した。
インクルいわてでは、平成24年10月から半年間、震災により影響を受けた女性及びひとり親を対象に、就労支援、生活支援、子育て支援を組み合わせた包括的就労支援を実施。スキルの習得のみならず、ひとり親家庭ならではの生活面や子育てサポート、心のケアも包括的に実施し、事業期間経過後も継続的に支援している。その結果、6人の対象者のうち4人が就労し、1人が簿記資格を取得し本格的に就職活動を開始する等、全員が社会参加を果たした。
このほか、ひとり親家庭への継続的な支援として、ハンドケアを行いながら各種の相談に応じるリフレッシュ・エンパワーメント事業、親子が一緒に楽しめる季節の企画や習い事を体験できる「おひさまくらぶ」事業を実施している。
また、ひとり親家庭の支援に携わる異なる分野の人々を対象とした「ひとり親家庭支援者養成講座」を開催し、多角的な支援の視点を身に付けた支援者の育成にも力を注いでいる。
インクルいわての実施している活動が「中間的就労支援インクルモデル」として全国から注目されるとともに、政府の一億総活躍国民会議有識者ヒアリング等に招かれ、政策提言を行っている。
さらに、平成27年度から、岩手県男女共同参画センター管理運営受託者として、これまでの活動で培ったネットワークを生かし、分野横断的連携による運営を開始している。
インクルいわての活動は、ひとり親家庭の社会的な自立を支援しているのみならず、地域に居住する外国籍者やセクシャルマイノリティへの支援など、今後も活躍が期待される。