米百俵未来塾

150年の時を超えて現代版「国漢学校」

開催の様子

米百俵未来塾開校式

8月8日、小学4年生から中学3年生までの高い志と熱意を持った50名の塾生を迎え、令和4年度に引き続き、米百俵未来塾を開校しました!
開校式では、米百俵財団の水流理事長から塾生に向けてのメッセージがおくられたほか、米百俵未来塾第1期修了生の吉岡興平さんからは受講の心構えなど、動画による激励のメッセージをいただきました。
また、塾生代表の酒井太久真さんからは、米百俵未来塾に対する熱い思いなどの力強い意気込みが発表されました。
これから12月まで、芸術、スポーツなど全6回にわたる多面的な連続講座を体験します。

 

▲ 米百俵財団 水流理事長からの激励メッセージ
「主催者として、50名の塾生のみなさんを心から歓迎します。ここ『ミライエ長岡』は、7月22日にオープンしたばかりですが、153年前に『国漢学校』があった場所のため、米百俵未来塾の開校にふさわしい場所なのです。長岡に大学や高専、専門学校、高等学校といった学校が多いのは、国漢学校の時代から現在まで、『米百俵』の精神を大切に引き継いできたからです。これからみなさんは、未来塾の各講座で、いろんな一流の方と会って学びます。身体で表現したり、世界の言葉で話してみたり、ブロックを組み立てたり、楽しみながら仲間と力を合わせて何かを生み出す作業をしていきます。そこでは、【自分で考える】【相手に伝える】【相手の考えをよく聞く】【すり合わせながらもっと良いアイデアを考える】ということを、ワークショップを通じて繰り返し実施します。きっと全6回を終える頃には、みなさん自身が成長や変化を実感でき、未来の自分の姿を考えるきっかけになると思います。ぜひ、講座を思いっきり『楽しんで』ください。」

 

▲ 第1期修了生の吉岡さんからの動画による応援メッセージ
「この塾で米百俵について学び、社会における教育の大切さや力強さを知りました。これから未来塾で学ぶうえで、期待や不安がたくさんあると思いますが、アドバイスが2つあります。1つ目に、『失敗を恐れず、積極的・主体的に参加しましょう』。失敗を考えて何もしないより、失敗して次の何かを得る方がよいです。2つ目に、『お互いを尊重し、相手の話をよく聞き、安心して話せる場をつくりましょう』。相手のいうことを否定せず、まず受け止めて、そして自分の意見を伝えてください。多様な考えに触れながら、自分の意見を伝えることは、考えを深めて広げることができる、とても大切な機会です。少し先の話をしましょう。みなさんが未来塾を卒業して、大人になって、どんな仕事をするにしても、その【仕事と長岡が掛け算されるようになってほしい】と思います。【YouTuber×長岡】であれば、長岡の魅力をSNSで発信するということです。【医者×長岡】であれば、地域医療に貢献するということです。この塾で長岡について少しでも詳しくなって興味を持ち、将来の長岡に貢献してほしいと思います。米百俵未来塾での経験はすべてが学びです。そして何より楽しむことが一番大事です。みんなで楽しく学んでください。」

 

 

▲ 塾生代表の酒井さんのことば
「『米百俵』の精神で知られる小林虎三郎の携わった『国漢学校』の跡地にある新しい施設で、長岡の歴史を学べる事を光栄に思います。全6回の魅力的な講座に気持ちが惹かれ、好奇心が溢れて、申し込みしました。いろいろな方々との交流を楽しみながら、コミュニケーション能力を高め、自分のステップアップにつなげて、中学最後の思い出の一つにしたいと思います。将来はまだ自分探しの途中ですが、ここ長岡に貢献できる職業に就いて頑張っていきたいです。半年間よろしくお願いします。」

第1回講座「学ぼう!「米百俵」の精神~長岡の先人から学ぶ未来を切り拓く力~」

〔講師:米百俵未来塾 羽賀友信 塾長 、 荒木正コーディネーター〕
〔ガイド:阪之上小学校6年生児童のみなさん〕

第1回講座では、「米百俵」の精神にまつわる歴史や、広い視野で先を見越して生き抜いてきた長岡の先人たちの思いを学びました。さらに、阪之上小学校伝統館を訪問し、学びを深めました。

①講義「未来の自分、なりたい自分を探そう」
はじめにコーディネーターの荒木先生から「未来の自分、なりたい自分を探そう」というテーマで講義がありました。
講義の中で、塾生が未来塾に参加した理由について紹介しました。「米百俵の精神と長岡の
偉人について知りたかったら」「もっといろいろな経験をして、自分の視野を広げたい」「自分の将来のきっかけをつくりたい」「自由研究で『米百俵』の精神を取り上げたい」など、参加への熱意が感じられました。
荒木コーディネーターからは、「米百俵」の精神について、「小林虎三郎個人の栄光ではなく、藩士たちも虎三郎の思いと考えを聞き入れて理解し、共に向かおうと決断したからこそ誕生した。」と説明がありました。
その原点となった、「米百俵の群像(長岡市千秋)」が表している山本有三氏の「戯曲『米百俵』」の一場面を、ファシリテーターの先生方が迫力のある音読劇で演じました。
また、未来塾について、「様々な体験をしたり、講師の話を聞いて、その思いを心で感じとり、未来の自分について考えるきっかけにしてほしい」とメッセージをいただきました。

②講演「米百俵とは」   ※当講演は、動画の放映で行いました。
次に、羽賀塾長から、世界では、学校に行きたくても行けない子たちがたくさんいることや、電気や食料の確保が当たり前にはできない地域があることが語られ、『日本の当たり前が、世界の当たり前ではないこと』が伝えられました。そして、「米百俵」の精神が途上国をはじめ世界で評価され、広がっていることについて紹介がありました。
また、虎三郎や当時の長岡藩主を引き合いにして、「リーダーとは目先のことにとらわれず、20年後、30年後のビジョンを示せる人である」として、「意見や立場の違う人同士がビジョンに向かって協働し、未来の力に変えていくことも「米百俵」の精神だ」と話がありました。
塾生は、スケールの大きな話に感心しながら、熱心に聞き入っていました。

③阪之上小学校伝統館
国漢学校の流れをくむ阪之上小学校では伝統館を見学し、同校の6年生から展示物の説明や国漢学校の歴史について説明いただきました。はじめて知ることも多く、そして同校6年生の豊富な知識とわかりやすい説明に、塾生は驚きをもって臨んでいました。昼食には、長岡グランドホテル特製の「米百俵弁当」をいただきました。長岡産野菜をふんだんに使い、長岡の偉人が愛したといわれるメニューを味わって、“食”でも米百俵を体験しました。

 

④グループワーク
最後に、今日の講座で心に残ったこと、感じたこと、新しく知ったことをグループで話し合い、発表をしました。
発表では、「小林虎三郎が米百俵を学校に役立てたように、未来のほかの人のために思いを持って行動できるようになりたいと思った」、「虎三郎の考えと藩士たちの想いが一体となって学校ができたことがわかった」、「その藩士たちの納得がなければ私たちはいなかったかもしれない。今よりももっと良い未来を迎えるために、私たちが今できることは『学ぶこと』『生きること』『世界の人とつながること』。そして、もっと交流し、より良い世界にし、長岡をより良い町にしたい」、「海外では学校に行きたくても行けない子がいることがわかった」、「『米百俵』の精神が世界で評価されていることを初めて知った。学校では学べない部分なので、学校のみんなにも伝えていきたい。」といった意見がありました。


▲コーディネーター 荒木先生の講演

▲先生方による『米百俵』の音読劇

▲羽賀塾長の講演

 

【阪之上小学校伝統館】

▲阪之上小学校6年生から、伝統館の説明を受けました。

▲昼食は、「米百俵」がコンセプトの「米百俵弁当」を食べました。
【グループワーク】

▲今日の講座を聞いて感じたことを、グループで話し合いました。
【発表】

▲グループのメンバーで話し合ったことを、みんなに発表しました。

【集合写真】

 

米百俵未来塾第4期生修了式

第9回講座終了後、米百俵未来塾の学びをとおしてたくましく成長した塾生の修了式を開催しました。
修了式では、米百俵財団の水流理事長による主催者代表あいさつに続き、米百俵未来塾の羽賀塾長から、塾生への想いが込められた修了証書が授与され、塾生に対し激励のメッセージが贈られました。
塾生代表のことばでは、櫻井さんが未来塾に参加する前と後での気持ちの変化や、心に残った講座について発表しました。
第4期生の皆さんが、これからさらにチャレンジを続け、未来を切り拓いていくことを願っています!


▲水流理事長のあいさつ
「自分で考え、実行することは大人でも難しいが、人生はその積み重ね。それによって自分がやりたいことが、のびのびできるようになる。そのために、これからも学び続けてほしい」

▲修了証書授与

▲羽賀塾長からの激励メッセージ
「自分の弱さに向き合い、未来塾のはじめと今で違う自分に変わってくれたことに感動した」、「これから先もいろいろ経験し、心が動いたことについて深く考え、行動に結びつけてほしい。夢に向かって学びの道を羽ばたいてほしい」

▲塾生代表のことば
「第1回講座では発表が苦手なので、不安だったが、次第に発表にも自信が持てるようになった。未来塾を通して学校での学びの理解を深めたり、貴重な体験をとおし、これからの自分について考えるなど成長を感じることができた。米百俵未来塾に入ってよかった」

▲集合写真

第9回講座「未来の自分を探そう!~米百俵未来塾を振り返って~」

最終回となる第9回講座では、これまでの米百俵未来塾を振り返り、さまざまな講座をとおして学んだことをグループごとにまとめ、共有しました。そして、米百俵未来塾で得たことを未来の自分にどのように活かしていくかを考えました。

●講座の振り返り
はじめに、第1回から第8回までの講座のポイントやキーワードについて、スライドを見ながら振り返りました。

●グループワーク①「米百俵未来塾を振り返る」
これまでの講座をとおして心に残ったこと、学んだことは何かを塾生同士で共有しました。塾生は、「『米百俵』の精神を広めていきたい」、「長岡花火は長岡の宝」、「過去を知り、文化や伝統を守りつつ、未来につなげていきたい」など、長岡の歴史や伝統、文化を学ぶだけでなく、そこに込められた人の想いとともに、未来に発展させていきたいと語っていました。
また、「いろいろな国の言葉を学んでたくさんの友だちをつくりたい」、「オリンピック選手の星野純子さんのように、一歩ずつ目標に向かって努力したい」など、各講座で学んだことを話し合いました。

●グループワーク②「未来の自分を探そう」
グループワーク①で話し合ったことを踏まえて、「未来塾に参加して自分がどう変わったか」、「未来塾で学んだことをどう活かしていきたいか」を話し合いました。

●グループワークの発表
グループワークで話し合ったことを一人ひとりが発表しました。「今までは友達としか話せなかったが、未来塾に参加し、ほかの学校の人とも話せるようになった。積極性が高まった」、「人前で意見を言うことが得意になった」、「長岡の偉人の功績など、新しいことに興味を持つようになった」など、塾生は、未来塾をとおして自分が成長していることを実感している様子でした。
また、「目標を立てて少しずつ達成しながら夢をかなえたい」、「国連の組織に入って海のルールづくりをしたい」、「小林虎三郎を見習い、人の役に立てる人になりたい」など、未来に活かしていきたいこと、これから頑張っていきたいことなどを発表しました。

●荒木コーディネーターによるまとめ
最後にコーディネーターの荒木先生から、グループ発表の総括とまとめの話がありました。荒木先生は「夢や希望を持つこと、新しい自分に変わっていくことのすばらしさが感じられる発表だった」と総括され、「『米百俵』の精神を学ぶとは、過去を学ぶことではなく、未来の自分を考えることだ」、「皆さんはこれから先、いろいろなことを知り、なりたい自分が変わるかもしれないが、それ自体が成長のあかし。皆さんの未来が希望に満ち、自分で道を切り拓いていくことを期待している」とまとめのお話をいただきました。

▲これまでの講座をスライドで振り返り

▲グループワークの様子

▲グループワークの様子

▲グループワークの様子

▲グループワークの様子

▲グループワークの様子

▲グループ発表①

▲グループ発表②

▲グループ発表③

▲グループ発表④

▲グループ発表⑤

▲荒木コーディネーターによるまとめ

第8回講座「長岡花火に込められた想いを学ぼう!~長岡の誇りを次世代に~」

第8回講座は、長岡花火の歴史や長岡花火に込められた想いを学びました!

●“長岡花火の歴史と込められた想い”を学ぶ
動画「かこパッド 長岡花火物語」の鑑賞や長岡花火財団の方から、長岡花火の歴史や花火に込められた想いについて学びました。「長岡花火のはじまり」「長岡空襲の慰霊と復興祈願」「中越大震災からの復興祈願」など、長岡花火がどのようにして作り上げられたか、詳しく知ることができました。
戦前から娯楽としての花火大会はありましたが、長岡空襲後、長岡花火は『復興の花火』として復活しました。8月1日が「戦災殉難者慰霊の日」、8月2日と8月3日が「花火大会の日」とされ、「亡くなった方への慰霊」と「焼けたまちを元通りにしてくれた人への感謝」「戦争のない平和な未来への願い」を込め、現在まで花火を打ち上げています。
さらに、2004年の中越大震災後は、「地震に負けずにがんばっている人の元気と勇気」「寄附やボランティアをしてくださった方への感謝」など、震災からの復興への想いが込められるようになりました。
また、長岡花火は、花火師さんをはじめ、警察官、警備員、多くのスタッフや企業など、1万人以上の方の関わりがあって、成り立っていることが語られました。
そして、「慰霊」「復興」「平和への祈り」といった長岡花火に込められた想いを、次の世代を生きる子どもたちに伝え、語り継いできたからこそ、現在の長岡花火があるのです。

●花火玉のつくりかたと、花火玉の制作体験
長岡花火でも打ち上げている花火師さんである小千谷煙火興業の瀬沼輝明さんと瀬沼智恵さんから、花火玉の構造と作り方についてのお話をお聞きしました。配合する金属によって色を変えることや、へぎで天日干しすること、玉詰めや、クラフト紙を幾重にも貼り合わせる工程について、実際の画像や映像を見ながら、知ることができました。
次に、花火玉制作キットを用いて、実際の花火玉をつくる時のコツや注意点も教えていただきながら、制作を行いました。
初めての花火玉制作の各工程に戸惑いながらも、各々が世界で一つだけの花火玉をつくりました。

●まとめ
最後に、花火財団の方から、『長岡魂』についての熱いメッセージをいただきました。
「みなさんが、これから成長しながら自分の夢に向かって進んでいく中で、いろいろな難儀や困難があったり、思いどおりに進まないこともあると思います。そんな時は、災いや困難に立ち向かって乗り越えてきた長岡花火にまつわる歴史と想いを思い出して、どんなことにも負けないで乗り越えていっていただきたいと思います。この『長岡魂』をずっと忘れずに覚えていてください。」

▲“長岡花火に込められた想い”を学ぶ

▲花火玉のつくりかた

▲花火玉のつくりかた

▲花火玉の実物大レプリカ

▲花火玉制作

▲花火玉制作

▲花火玉制作

▲花火玉制作

▲花火玉制作

▲花火財団からのメッセージ