米百俵未来塾

150年の時を超えて現代版「国漢学校」

開催の様子

米百俵未来塾開校式

8月5日、小学4年生から中学3年生までの高い志と熱意を持った51名の塾生を迎え、令和6年度に引き続き、米百俵未来塾を開校しました!開校式では、米百俵未来塾の金澤俊道塾長から塾生に向けてのメッセージがおくられました。また、塾生代表の佐藤さんからは、米百俵未来塾に参加して知りたいことや学びたいことなど、意気込みが発表されました。これから12月まで、芸術、スポーツなど全7回にわたる多面的な連続講座を体験します。

▲ 米百俵未来塾 金澤塾長からのメッセージ

「みなさん、ようこそ米百俵未来塾に来てくださいました。小林虎三郎らが三根山藩からおくられた米百俵を『未来のために』と売ってお金にし、国漢学校の教材を買ったことと同じように、この未来塾も、長岡開府400年の時に長岡市の300社以上の企業と市民の方々から『米百俵のまちなのだから、人を育てることにつかってください』とたくさん預けられた御寄附をもとに行っています。そして、長岡市内にあるいろんな団体が協力してくださって運営されています。まさに未来塾は令和の『米百俵』であり、みなさんはその第7期生です。未来塾では、第1期生の塾生が伝えてくれた塾生の心得、①失敗を恐れずに積極的・主体的に参加すること、②お互いを尊重して安心して話せる場をつくること、③とにかく楽しむこと、を心に留めて参加してほしいと思います。未来塾は、未来をつくるための塾です。まず、みんなと同じではなく「自分は」こんなふうに生きていきたい、このような考え方で生きていきたい、というみなさん自身の未来を考えてほしいと思います。それから、長岡のために日本のために世界のために自分はどんなことができるのか、未来を考えるきっかけになってほしいと思います。そのためには、お互いに話しあい、いろいろな意見を出し合いながら考えてほしいと思います。それでは、これからの講座では元気に頑張りましょう。」

 

▲ 塾生代表の佐藤さんのあいさつ

「『わたしたちのまち長岡』を読み、小林虎三郎の『米百俵』の精神について知りたいと思いました。また、学校の授業で友達の意見を聞いて、「なるほど!そのような考え方もあるのか。」と自分の考えと比べられるようになりました。そして、それを相手にうまく伝えられたらいいなと思うようにもなりました。たくさんの講座を通して、みなさんと一緒に考えながら意見交換をし、考え方や伝え方を学びたいと思っています。将来、もっと自分の考えを広げて、それを伝えられる人になりたいです。みなさんと、小林虎三郎の『米百俵』の精神に近づけたら嬉しいです。半年間、どうぞよろしくお願いします。」

 

▲ 集合写真

米百俵未来塾第6期生修了式

米百俵未来塾第6期生修了式

第7回講座終了後、米百俵未来塾の学びをとおしてたくましく成長した塾生の修了式を開催しました。修了式では、米百俵財団の水流理事長による主催者代表あいさつに続き、米百俵未来塾の羽賀塾長から、塾生への想いが込められた修了証書が授与され、塾生に対し激励のメッセージが贈られました。塾生代表のことばでは、星さんが未来塾で心に残った講座や参加する前と後での気持ちの変化、たくさんのことを学んで楽しかったことについて発表しました。第6期生の皆さんが、これからさらにチャレンジを続け、未来を切り拓いていくことを願っています!

▲水流理事長のあいさつ

「未来塾のテーマは、自分の考えを言葉で相手に伝えること、そしてお互いのアイデアをすりあわせてよりよいものにしていくこと。今日の発表では、多くの人がそのことを話していた。皆さん第1回講座の自分と変わったと感じていると思う。これからも自分の考えを相手に伝えることを意識して人生を歩んでいってほしい。」

▲修了証書授与

▲羽賀塾長からの激励メッセージ

「皆さんは、「誰かがやる」ではなく、「私がやる」ということを学んでくれたと思う。ただし一人では何もできない。違う個性、違う見方、その違うということがパワーになる『協働』の考え方が勉強できたと思う。」「何かに出会ったとき、疑問が湧いたら「なぜ」と自分に問いかけてほしい。そして納得できるまで追いかける癖をつけてほしい。これからも頑張って成長していってください。」

▲塾生代表のことば

「すべての講座で必要だったことは、意見を伝え合うことだったと思う。各班の発表を聞くことで、自分では考えつかない、思いもよらない様々な意見を知ることもあった。」「自分はまだなりたい姿や夢はうっすらとしか見えていないが、米百俵未来塾で学んだことを活かして、なりたい自分の姿を見つけたい。」


▲集合写真

第7回講座「未来の自分を探そう!~米百俵未来塾を振り返って~」

第7回講座「未来の自分を探そう!~米百俵未来塾を振り返って~」

最終回となる第7回講座では、これまでの米百俵未来塾を振り返り、さまざまな講座をとおして学んだことをグループごとにまとめ、共有しました。そして、米百俵未来塾で得たことを未来の自分にどのように活かしていくかを考えました。

●講座の振り返り

はじめに、第1回から第6回までの講座のポイントやキーワードについて、スライドを見ながら振り返りました。

●グループワーク①「米百俵未来塾を振り返る」

これまでの講座をとおして心に残ったこと、学んだことを塾生同士で共有しました。塾生は、「自分にない考えを見つけられるので、協力すること、様々な視点から物事を考えることの大切さがわかった。」、「朝原宣治さんの話を聞いて、緊張することは悪いことじゃないとわかった。」など、多くの気付きを得たようでした。

●グループワーク②「未来の自分を探そう」

グループワーク①で話し合ったことを踏まえて、「未来塾に参加して自分がどう変わったか」、「未来塾で学んだことをどう活かしていきたいか」を話し合いました。

●グループワークの発表

グループワーク②で話し合ったことを一人ひとりが発表しました。塾生は、「いろいろなことに「なぜ?」という疑問を持ち、本当の意味をわかるようにしたい。」、「夢を叶えるために、朝原選手のようにどんなときもやり切ること、失敗してもポジティブになることを身に付けたい。」、「未来塾を受講する前まではやってみたいことがあっても行動や決断ができなかったが、未来塾でいろいろなことに挑戦することでやれることが増えた。」、「受講する前は恥ずかしい気持ちが勝ってしまい、自分の意見を伝えることが苦手だったが、講座をとおし、人と意見を出し合うことで今まで思いつかなかったアイデアが聞けておもしろいと思った。これからは自分の意見を言うことはもちろん、相手の意見との違いを探し、新しいアイデアを生み出していきたい。」など、未来塾をとおして成長した自分を実感するとともに、学んだことを将来や普段の生活と結び付け、活かしていきたいという意欲が見られました。

●高橋コーディネーターによるまとめ

最後に高橋先生から、「多くの人が自分の言葉で気付きや願いを語っている姿がすばらしかった。」という総括とともに、「友達の話から気付いたことを自分の考え方に活かしていけるとよい。」とアドバイスをいただきました。また、「米百俵の精神は歴史上のことではない。皆さん一人ひとりの志のことだ。」、「皆さんには、「なりたい自分」を追い求め、挑戦を続けてほしい。」という激励のメッセージとともに、「その過程で疑問に感じたことは放っておかず、立ち止まって考えることが大事。」、「これからの社会は予測できないほど大きく変わっていく。やりたいことを実現するために何をすべきか自分で考え、行動していくことが大切。」、「失敗しても目当てを立て直しながら挑戦し続けてほしい。」と今後の塾生への期待を込め、まとめのお話をいただきました。

第6回講座 オリンピックメダリスト 朝原宣治さんから学ぶ「目指す自分になるためのポジティブで柔軟な思考」

第6回講座 オリンピックメダリスト 朝原宣治さんから学ぶ「目指す自分になるためのポジティブで柔軟な思考」

〔講師:朝原 宣治さん〕

北京オリンピックや2018年世界マスターズにおいて4×100mリレーでメダルを獲得した朝原宣治さんから、オリンピックへの挑戦の経験とポジティブに考えることの大切さについて講演いただきました。

①講演

朝原さんからは、「日本人が陸上競技でメダルを獲れるわけがない」という空気が常識だった中において「マインドセットを変えること」の重要さについてお話をいただきました。それは、普段自分たちが考えている常識を変えていくということでした。海外留学で周りがプロばかりの環境に身を置き、自分の意識を高めていったこと、骨折をきっかけに自分を見つめ直すきっかけになった経験から「失敗のときにどういう行動をとるかが大事」と話がありました。
また、リレーにおいては特に「信頼関係を築くこと」が大切であるとのお話もありました。先人の思いや技術を引き継ぎながら、お互いに認め合って切磋琢磨し、試合で走る選手だけでなくサポートしてくれるスタッフや補欠選手も懸命に取り組み、夢に向かってチームで思いをつなぐことが、バトンをつなぐということなのだというお話を聞くことができました。さらに、現実を受け入れて、自分にできることを考える大切さについても話がありました。外国人選手との筋肉量の違いなどの身体的な違いを受け入れ、自分の特長を活かすことでオリンピックのリレー種目でメダルを獲得した経験をとおして、「自分のやりたいことや目標を、周りの人との比較ではなく、自分なりに置くことが大切である」という、世界での活躍の背景にあった貴重なお話を聞くことができました。

最後に「皆さんにはそれぞれ才能や特長がある。いろいろなことを経験し、挑戦してほしい」と塾生へメッセージをいただきました。

②朝原さんへの質問タイム

講演を聞いて朝原さんに聞いてみたいことを質問しました。「緊張に打ち勝つ方法は?」という質問に対し朝原さんは「ちゃんと自分がやる気になっているからこそ緊張する。緊張することもプラスに捉えてほしい。」とメッセージをいただきました。また、「メンタルを強くするには?」という質問に対しては「同じことをやっても気持ちの持ち方で結果が違う。どうしたら前向きに進めるか考える癖をつけることが大事。」とアドバイスをいただきました。

 

第5回講座 デザイン思考ワークショップ

第5回講座 デザイン思考ワークショップ

〔講師:長岡造形大学 板垣 順平 先生、同大学学生のみなさん〕

この講座では、レゴブロックや画用紙などを使って「未来の長岡のまち」の制作を行いました。「デザイン思考」のプロセスに基づいて“視点や発想の転換”を途中で行い、住む人のニーズに応えられるように、各グループで話し合って工夫しながら進めました。

●デザイン思考とは

講師の長岡造形大学の板垣順平先生から、「デザイン思考」について説明がありました。「デザイン思考」は、①きょうかんする→②課題を発見する→③アイデアをいっぱい考える→④アイデアをカタチにする→⑤アイデアを確かめてみる、という5つのプロセスを繰り返して、人の困りごとなどを解決する考え方です。特に大切なことについて、板垣先生から「人の考え方は様々であり、困りごとには理由や原因があるので、『なぜ』を大切にして、聞きとって理解することが大切です。それによって自分のアイデアも広がります。」「他の人の見方や捉え方を見ると、自分だけでは思いつけなかった方法に気付けると思います。だから、他の人のアイデア、考え方、やり方を知るということを大事にしてもらいたいと思います。」とアドバイスがありました。

①レゴブロックなどで「未来の長岡のまち」を制作

まず、グループで思い描く「未来の長岡のまち」を制作しました。『新しいお店』、『おいしい飲食店』や楽しく過ごすための『娯楽施設』など、塾生が未来のまちに望む施設が制作されました。また、『空港』を新設するなど、各グループの創意工夫が見られました。

②まちなかインタビュー

次に、各グループで、「未来の長岡のまち」についてミライエ長岡に来館している市民の方にインタビューをしました。長岡の「良いところ」、「良くないところ・不便なところ」、「今の長岡がもっと良くなるために何があると良いか」を聞きとりました。

③「未来の長岡のまち」をリニューアル

市民のみなさんへのインタビューを経て、「私たち自分たちだけがほしいものではなく、インタビューで話を聞いた人たちが必要としているもの」があるまちをつくるため、「足りない施設は何か」、「作り替えた方がよい部分はあるか」を各グループで話し合いました。そして、困りごとの解決や望みの実現のために、住む人の気持ちになってまちを作り変え、「未来の長岡のまち」を完成させました。

④「未来の長岡のまち」発表

各グループによる発表では、インタビューでの『車がないと移動が大変』という声を受けての「新しい交通機関」の追加、『遊び場や賑わいの場を増やしてほしい』との声を受けての「テーマパーク」の追加、『雪が多い』との声を受けての「雪を利用した施設」の追加など、まちの人の困りごとを解決するための創意工夫が見られ、また、『働く場や活躍する場を増やしてほしい』との声を受けて「企業の誘致」を表現した班、『様々な世代の方』にインタビューをして、若者だけでなく高齢の方も楽しめるまちを表現した班もあり、発想の柔軟さや鋭さに驚かされました。