米百俵未来塾

150年の時を超えて現代版「国漢学校」

開催の様子

第1回講座「学ぼう!「米百俵」の精神~長岡の先人から学ぶ未来を切り拓く力~」

〔講師:高橋 正則 先生〕〔ガイド:阪之上小学校6年生児童のみなさん〕

第1回講座では、「米百俵」の精神にまつわる歴史や、広い視野で先を見越して生き抜いてきた長岡の先人たちの思いを学びました。さらに、阪之上小学校伝統館を訪問し、学びを深めました。

①自己紹介ゲーム

まず、ほとんどの塾生が初めて会う人同士のため、グループ内でお互いに名前と学校名のほか、好きなことなどのクイズを含めた自己紹介のゲームをしました。その後、事前に書いてきた「受講を決めた理由」の短冊を見せ合いながら、未来塾で楽しみにしている講座や目標を紹介し合い、共通点やお互いのことについて少しだけ知ることができました。

②講義「未来の自分、なりたい自分を探そう」

未来塾コーディネーターの高橋正則先生から「未来の自分、なりたい自分を探そう」というテーマで講義がありました。高橋先生からは、「目的をもって参加したり、やってみようと思ったこと自体が素晴らしいことであり、その『挑戦してみよう』という気持ちには価値があります。ぜひ『挑戦すること』を楽しんでほしいと思います。」とお話がありました。

次に、未来塾を受講するみなさんに意識してほしい心構えについてのお話がありました。「米百俵未来塾とは、7回の講座を通して、仲間から刺激を受けたり、長岡の先人の知恵や生き方、各回の講師の先生の生き方に学び、『未来の自分、なりたい自分』を考えてみるところです。成長によって変化をしていきますが、今自分が思い描く未来の自分を考える場です。様々な体験が用意されています。その中で、『出会った人たちが、どんな希望、夢をもって活動しているのか』『現在に至るまでの苦労や困難を解決していった努力の過程』『講師の先生の生き方から学んだこと、心に残った言葉』『自分もやってみたくなった、挑戦したくなったこと』『自分自身の可能性への気づき』を意識してほしい思います。そして、感動したことばや出来事を『心』でしっかり受け止め、新しく知ったこと、心が動かされたこと、感じたことを、『自分の言葉』できちんと整理することはとても大切です。」「10年後の自分を思い描いてみたことはあるでしょうか。仕事や職業ではなく、生き方が大切なのです。自分でいろいろな体験をしてみて、生き方を考えるきっかけにしていってと思います。」

また、「米百俵」の精神について、「北越戊辰戦争で燃えてしまった長岡のまちを今後どのように復興していったらいいのかを全員で考えたのが『米百俵』の思想です。長岡はまず教育に力を注ぎ、教育を受けた人たちが新しい考え方でまちを復興していきました。学校だけではまちの復興はできません。大切なことは、経済を動かして継続的に発展させていくことです。新しい考え方や改革ということも、とても大切になります。法律を変えていったり、医学を広めるなど、100年先の未来を見据えた『未来ビジョン』で、総合的にまちをつくってきました。そうして、今後どのようにしていったらよいのかを『協働』で考えてきたことが、長岡の『米百俵』の思想なのです。」、「小林虎三郎個人の思いだけではなく、藩士たちが虎三郎の思いを理解し、共感し、共に成し遂げようという覚悟を持って支えたからこそ誕生した。」「どんなに先が見えない困難な状況でも、目先の利益ばかりを考えるのではなく、将来のために行動することが大切であり、その中心にあるのは教育による人づくりである。」と説明がありました。

国漢学校の特徴として、身分に関係なく入学することができたこと、漢学、日本の歴史を教える国学、外国語や外国の知識を学ぶ洋学局、医学を学ぶ医学局、武道場があったこと、知識だけでなく生き方や考え方も教えられたこと、人から評価されるのでなく自分が満足するために生きることを説いたこと、教育は何のためにあるか考えることを問われたこと、も紹介されました。「夢を持とう。夢は一生ものだ。夢や希望があるから人は頑張ることができる。」「自分が頑張ることが、実は人のためにもなっている。」と教えられていたといわれています。

また、北越戊辰戦争で荒廃した長岡の復興や経済の基礎をつくった、岸宇吉についてのお話がありました。「岸宇吉は、北越戊辰戦争で負けて日々の暮らしもままならない状況で、岸家に身分を問わず多くの人を集め、復興や商工業の在り方を夜を徹して真剣に話し合いました。それは、『ランプ会』と呼ばれ、長岡の『米百俵』を語るうえで大切な舞台です。身分を越えて未来を話し合い、それぞれの違いを認め合い専門性をもつこと(あなたに合った自分にしかできない道を進むこと)が大切にされました。このように違いを認め合って力を合わせる『協働』は、長岡がとても大切にしている考え方の1つになりました。」

最後に、未来塾のスタートを切る塾生のみなさんへ、メッセージが伝えられました。「これからの全7回の講座の中で、目標としたいことや、『未来の自分』や『なりたい自分』のはそのきっかけが見つかればいいなと思います。また、未来塾では『なぜ』と思ったことを大切にしてほしいと思います。『なぜ』と思ったら一歩立ち止まって、じっくり考えると深い学びにつながります。」

③阪之上小学校伝統館

国漢学校の流れをくむ阪之上小学校では伝統館を見学し、同校の6年生から展示物の説明や国漢学校の歴史について説明いただきました。はじめて知ることも多く、そして同校6年生の豊富な知識とわかりやすい説明に、塾生は驚きをもって臨んでいました。昼食には、特製の「米百俵弁当」をいただきました。長岡産野菜を使ったメニューや、長岡の偉人が愛したといわれるメニューを味わって、“食”でも米百俵を体験しました。

⑤グループワーク

最後に、今日の講座で心に残ったこと、感じたこと、新しく知ったことをグループで話し合い、発表をしました。

グループワークでは、「小林虎三郎の未来の子どもたちのためにお米を売った決断が、長岡の未来に繋がったことがわかった。」「小林虎三郎のように人のために行動できるようになりたいと思った。」「小林虎三郎だけでなく、その熱意に応えた藩士たちや、百俵の米を送ってくれた三根山藩の人々も素晴らしいと思った。」「漢籍は、当時の先生たちが未来の子どもたちのために持って逃げたからこそ、今も残っているのだと知った。」などの意見がありました。
そして、未来や人づくりを考えること、アイデアを考えた人を支える人がいること、次世代に繋いでいくこと、身分に関係なく『協働』で話し合うことが大切だということが発表されました。また、中学生のグループでは、この日の講座をとおして学んだことを活かして、自分たちにできる行動はないかといった観点でも話し合いが行われました。

最後に、コーディネーターの高橋先生からまとめのお話がありました。「今日のグループワークと発表では、講座をとおして学んだこと、長岡の歴史を知って受け継ぎたいと思ったこと、考えてみたいこと、自分にできることなどを紹介し合ったと思います。このように仲間との情報交換をして、その人がなぜそう思ったのかといった理由を考えて、自分の考え方や生き方に活かしていけるようになってほしいというのが米百俵未来塾の活動のねらいです。米百俵未来塾は、単に過去の歴史を勉強するものではありません。歴史や様々な分野に学んで自分の生き方にどう活かしていくのかを考えるのが米百俵未来塾です。そうして描く『未来の自分、なりたい自分』は、移り変わることもありますが、移り変わっても希望を持って追い求め続けていってほしいと思います。12月の第7回講座では、その段階でのみなさんが描く『未来の自分、なりたい自分』を紹介し合う予定です。今日のみなさんの話の聞き方や話の伝え方は、とても良かったと思います。あと6回の講座をとおして、さらに磨きをかけていってほしいと思います。」

▲コーディネーター 高橋先生の講演

 

【阪之上小学校伝統館】

▲阪之上小学校6年生から、伝統館の説明を受けました。

▲昼食は、「米百俵」がコンセプトの「米百俵弁当」を食べました。

 

【グループワーク】

   

▲今日の講座を聞いて感じたことを、グループで話し合いました。

 

【発表】

▲グループのメンバーで話し合ったことを、みんなに発表しました。

米百俵未来塾開校式

8月5日、小学4年生から中学3年生までの高い志と熱意を持った51名の塾生を迎え、令和6年度に引き続き、米百俵未来塾を開校しました!開校式では、米百俵未来塾の金澤俊道塾長から塾生に向けてのメッセージがおくられました。また、塾生代表の佐藤さんからは、米百俵未来塾に参加して知りたいことや学びたいことなど、意気込みが発表されました。これから12月まで、芸術、スポーツなど全7回にわたる多面的な連続講座を体験します。

▲ 米百俵未来塾 金澤塾長からのメッセージ

「みなさん、ようこそ米百俵未来塾に来てくださいました。小林虎三郎らが三根山藩からおくられた米百俵を『未来のために』と売ってお金にし、国漢学校の教材を買ったことと同じように、この未来塾も、長岡開府400年の時に長岡市の300社以上の企業と市民の方々から『米百俵のまちなのだから、人を育てることにつかってください』とたくさん預けられた御寄附をもとに行っています。そして、長岡市内にあるいろんな団体が協力してくださって運営されています。まさに未来塾は令和の『米百俵』であり、みなさんはその第7期生です。未来塾では、第1期生の塾生が伝えてくれた塾生の心得、①失敗を恐れずに積極的・主体的に参加すること、②お互いを尊重して安心して話せる場をつくること、③とにかく楽しむこと、を心に留めて参加してほしいと思います。未来塾は、未来をつくるための塾です。まず、みんなと同じではなく「自分は」こんなふうに生きていきたい、このような考え方で生きていきたい、というみなさん自身の未来を考えてほしいと思います。それから、長岡のために日本のために世界のために自分はどんなことができるのか、未来を考えるきっかけになってほしいと思います。そのためには、お互いに話しあい、いろいろな意見を出し合いながら考えてほしいと思います。それでは、これからの講座では元気に頑張りましょう。」

 

▲ 塾生代表の佐藤さんのあいさつ

「『わたしたちのまち長岡』を読み、小林虎三郎の『米百俵』の精神について知りたいと思いました。また、学校の授業で友達の意見を聞いて、「なるほど!そのような考え方もあるのか。」と自分の考えと比べられるようになりました。そして、それを相手にうまく伝えられたらいいなと思うようにもなりました。たくさんの講座を通して、みなさんと一緒に考えながら意見交換をし、考え方や伝え方を学びたいと思っています。将来、もっと自分の考えを広げて、それを伝えられる人になりたいです。みなさんと、小林虎三郎の『米百俵』の精神に近づけたら嬉しいです。半年間、どうぞよろしくお願いします。」

 

▲ 集合写真

米百俵未来塾第6期生修了式

米百俵未来塾第6期生修了式

第7回講座終了後、米百俵未来塾の学びをとおしてたくましく成長した塾生の修了式を開催しました。修了式では、米百俵財団の水流理事長による主催者代表あいさつに続き、米百俵未来塾の羽賀塾長から、塾生への想いが込められた修了証書が授与され、塾生に対し激励のメッセージが贈られました。塾生代表のことばでは、星さんが未来塾で心に残った講座や参加する前と後での気持ちの変化、たくさんのことを学んで楽しかったことについて発表しました。第6期生の皆さんが、これからさらにチャレンジを続け、未来を切り拓いていくことを願っています!

▲水流理事長のあいさつ

「未来塾のテーマは、自分の考えを言葉で相手に伝えること、そしてお互いのアイデアをすりあわせてよりよいものにしていくこと。今日の発表では、多くの人がそのことを話していた。皆さん第1回講座の自分と変わったと感じていると思う。これからも自分の考えを相手に伝えることを意識して人生を歩んでいってほしい。」

▲修了証書授与

▲羽賀塾長からの激励メッセージ

「皆さんは、「誰かがやる」ではなく、「私がやる」ということを学んでくれたと思う。ただし一人では何もできない。違う個性、違う見方、その違うということがパワーになる『協働』の考え方が勉強できたと思う。」「何かに出会ったとき、疑問が湧いたら「なぜ」と自分に問いかけてほしい。そして納得できるまで追いかける癖をつけてほしい。これからも頑張って成長していってください。」

▲塾生代表のことば

「すべての講座で必要だったことは、意見を伝え合うことだったと思う。各班の発表を聞くことで、自分では考えつかない、思いもよらない様々な意見を知ることもあった。」「自分はまだなりたい姿や夢はうっすらとしか見えていないが、米百俵未来塾で学んだことを活かして、なりたい自分の姿を見つけたい。」


▲集合写真

第7回講座「未来の自分を探そう!~米百俵未来塾を振り返って~」

第7回講座「未来の自分を探そう!~米百俵未来塾を振り返って~」

最終回となる第7回講座では、これまでの米百俵未来塾を振り返り、さまざまな講座をとおして学んだことをグループごとにまとめ、共有しました。そして、米百俵未来塾で得たことを未来の自分にどのように活かしていくかを考えました。

●講座の振り返り

はじめに、第1回から第6回までの講座のポイントやキーワードについて、スライドを見ながら振り返りました。

●グループワーク①「米百俵未来塾を振り返る」

これまでの講座をとおして心に残ったこと、学んだことを塾生同士で共有しました。塾生は、「自分にない考えを見つけられるので、協力すること、様々な視点から物事を考えることの大切さがわかった。」、「朝原宣治さんの話を聞いて、緊張することは悪いことじゃないとわかった。」など、多くの気付きを得たようでした。

●グループワーク②「未来の自分を探そう」

グループワーク①で話し合ったことを踏まえて、「未来塾に参加して自分がどう変わったか」、「未来塾で学んだことをどう活かしていきたいか」を話し合いました。

●グループワークの発表

グループワーク②で話し合ったことを一人ひとりが発表しました。塾生は、「いろいろなことに「なぜ?」という疑問を持ち、本当の意味をわかるようにしたい。」、「夢を叶えるために、朝原選手のようにどんなときもやり切ること、失敗してもポジティブになることを身に付けたい。」、「未来塾を受講する前まではやってみたいことがあっても行動や決断ができなかったが、未来塾でいろいろなことに挑戦することでやれることが増えた。」、「受講する前は恥ずかしい気持ちが勝ってしまい、自分の意見を伝えることが苦手だったが、講座をとおし、人と意見を出し合うことで今まで思いつかなかったアイデアが聞けておもしろいと思った。これからは自分の意見を言うことはもちろん、相手の意見との違いを探し、新しいアイデアを生み出していきたい。」など、未来塾をとおして成長した自分を実感するとともに、学んだことを将来や普段の生活と結び付け、活かしていきたいという意欲が見られました。

●高橋コーディネーターによるまとめ

最後に高橋先生から、「多くの人が自分の言葉で気付きや願いを語っている姿がすばらしかった。」という総括とともに、「友達の話から気付いたことを自分の考え方に活かしていけるとよい。」とアドバイスをいただきました。また、「米百俵の精神は歴史上のことではない。皆さん一人ひとりの志のことだ。」、「皆さんには、「なりたい自分」を追い求め、挑戦を続けてほしい。」という激励のメッセージとともに、「その過程で疑問に感じたことは放っておかず、立ち止まって考えることが大事。」、「これからの社会は予測できないほど大きく変わっていく。やりたいことを実現するために何をすべきか自分で考え、行動していくことが大切。」、「失敗しても目当てを立て直しながら挑戦し続けてほしい。」と今後の塾生への期待を込め、まとめのお話をいただきました。

第6回講座 オリンピックメダリスト 朝原宣治さんから学ぶ「目指す自分になるためのポジティブで柔軟な思考」

第6回講座 オリンピックメダリスト 朝原宣治さんから学ぶ「目指す自分になるためのポジティブで柔軟な思考」

〔講師:朝原 宣治さん〕

北京オリンピックや2018年世界マスターズにおいて4×100mリレーでメダルを獲得した朝原宣治さんから、オリンピックへの挑戦の経験とポジティブに考えることの大切さについて講演いただきました。

①講演

朝原さんからは、「日本人が陸上競技でメダルを獲れるわけがない」という空気が常識だった中において「マインドセットを変えること」の重要さについてお話をいただきました。それは、普段自分たちが考えている常識を変えていくということでした。海外留学で周りがプロばかりの環境に身を置き、自分の意識を高めていったこと、骨折をきっかけに自分を見つめ直すきっかけになった経験から「失敗のときにどういう行動をとるかが大事」と話がありました。
また、リレーにおいては特に「信頼関係を築くこと」が大切であるとのお話もありました。先人の思いや技術を引き継ぎながら、お互いに認め合って切磋琢磨し、試合で走る選手だけでなくサポートしてくれるスタッフや補欠選手も懸命に取り組み、夢に向かってチームで思いをつなぐことが、バトンをつなぐということなのだというお話を聞くことができました。さらに、現実を受け入れて、自分にできることを考える大切さについても話がありました。外国人選手との筋肉量の違いなどの身体的な違いを受け入れ、自分の特長を活かすことでオリンピックのリレー種目でメダルを獲得した経験をとおして、「自分のやりたいことや目標を、周りの人との比較ではなく、自分なりに置くことが大切である」という、世界での活躍の背景にあった貴重なお話を聞くことができました。

最後に「皆さんにはそれぞれ才能や特長がある。いろいろなことを経験し、挑戦してほしい」と塾生へメッセージをいただきました。

②朝原さんへの質問タイム

講演を聞いて朝原さんに聞いてみたいことを質問しました。「緊張に打ち勝つ方法は?」という質問に対し朝原さんは「ちゃんと自分がやる気になっているからこそ緊張する。緊張することもプラスに捉えてほしい。」とメッセージをいただきました。また、「メンタルを強くするには?」という質問に対しては「同じことをやっても気持ちの持ち方で結果が違う。どうしたら前向きに進めるか考える癖をつけることが大事。」とアドバイスをいただきました。